日銀・FRB・ECBの金融政策は必ずチェック!スワップポイントを狙ったFX長期投資で損をしないようにしよう!
FXでは、基本的に、金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買うことで、スワップポイント(利息のようなもの)を受け取れます。
ですが、売買通貨ペアや売買タイミングを誤ると、受け取ったスワップポイントよりも評価損が上回ってしまい、トータルで損になる可能性もあります。
トータルで損にならないよう、長期的な通貨の価値を決定づける中央銀行の金融政策は、把握しておく必要があります。
- FXでスワップポイントを狙った長期投資を行う人
- スワップポイントがほしい人
- 長期的な為替の先行きを把握したい人
中央銀行の役割とは
中央銀行は、日本、アメリカ、EUなどに存在しています。
日本では日銀(日本銀行)、アメリカではFRB(米連邦準備理事会)、EUではECB(欧州中央銀行)が、中央銀行になります。
日銀、FRB、ECBの役割は、物価を安定させることです。
さらに、FRBは雇用の最大化といった役割も担っています。
日銀、FRB、ECBは、物価の安定の目標として、前年比2%の物価上昇を目指しています。
物価の安定や雇用の最大化
日銀、FRB、ECBは、物価の安定(前年比2%物価上昇)のために、①政策金利を変更したり、②市場に流通する通貨の量を調整したりします。
これを「金融政策」といいます。
政策金利を下げたり、市場に流通する通貨の量を増やしたりすることを「金融緩和」といいます。
政策金利を上げたり、市場に流通する通貨の量のを減らしたりすることを「金融引き締め」といいます。
①政策金利の変更とは、中央銀行が一般の銀行にお金を貸し出すときの貸出金利を変更することです。
②市場に流通する通貨の量の調整とは、中央銀行が市場から国債などを買うことで、市場に流通する通貨の量を増やしたり、逆に、市場で国債などを売ることで、市場に流通する通貨の量を減らしたりすることです。
市場に流通する通貨の量が減ると、通貨の価値が上がります。
モノも少なくなると、価値が上がります。
仕組みは同じですね。
物価の安定(前年比2%物価上昇)を実現するためには、基本的に景気が良くなければなりません。
ただし、景気が良すぎると、高い物価上昇率を招き、物価の安定(前年比2%物価上昇)が達成できません。
景気が過熱しすぎない程度の好景気がベストになります。
景気循環(景気は波のように上下動している)のなかで、できるだけ物価を安定させながら、好景気を続けることが、中央銀行の役割になっています。
景気循環と金融政策(金融緩和と金融引き締め)
景気は、上がったり下がったりしながら循環しています。
そして、物価は基本的に、景気に連動して上がったり下がったりします。
中央銀行は、物価の安定(前年比2%物価上昇)のため、景気をコントロールすることで、物価をコントロールしていきます。
景気循環とは、次の図のとおりです。
①から④までの流れを、景気循環といいます。
①好況
景気が良いと、人々購買意欲が増加し、消費が増えていきます。
消費が増えると、モノやサービスを提供する企業が、より多くのモノやサービスを提供しようと、雇用を増やします。
人々の消費に対して、企業のモノやサービスの提供が追い付かなくなると、モノやサービスの価格が上がります。
②景気後退
景気が過熱し、物価が上昇しすぎると、モノやサービスが高すぎて買えない、といった人々の不満が高まります。
人々の不満を解消するため、景気を冷やす必要が出てきます。
景気を冷やすには、政策金利を上げたり、市場に流通する通貨の量を少なくしたりする「金融引き締め」を行います。
すると、金利が高くなったことで、借金をしてモノやサービスを消費することが難しくなります。
そして、景気が悪化していきます。
③不況
景気が悪化すると、人々の購買意欲が減少し、消費が減っていきます。
消費が減ると、モノやサービスも不要となり、モノやサービスを提供する企業は、雇用を減らします。
人々の消費に対して、企業のモノやサービスの提供が多すぎると、モノやサービスの価格は下がります。
④景気上昇
景気が悪化すると、失業者が増え、人々の不満が高まるため、景気を良くする必要が出てきます。
景気を良くするには、政策金利を下げたり、市場に流通する通貨の量を多くしたりする「金融緩和」を行います。
すると、金利が低くなったことで、借金をしてモノやサービスを消費しやすくなります。
そして、景気が良くなっていきます。
金融政策(金融緩和と金融引き締め)が通貨に与える影響
政策金利を下げたり、市場に流通する通貨の量を増やしたりする「金融緩和」が行われると、基本的に通貨の価値は下落する傾向があります。
政策金利を上げたり、市場に流通する通貨の量のを減らしたりする「金融引き締め」が行われると、基本的に通貨の価値は上昇する傾向があります。
どの通貨ペアを売買するか?どのタイミングで売買するか?は、中央銀行の金融政策を把握したうえで決めていく必要があります。
投資家は、金利の低い通貨よりも金利の高い通貨を買いたいと考えます。
みなさんも、金利が高いほうが魅力に感じますよね。
長期投資の売買判断に使える政策金利差と10年国債金利差
金融政策の情報を、どのように売買に生かしていけばいいのでしょうか?
そこで、日本とアメリカの政策金利差、10年国債金利差、ドル円の関係をグラフにしてみました。
(注1)政策金利差=アメリカの政策金利-日本の政策金利
(注2)10年国債金利差=アメリカの10年国債金利-日本の10年国債金利
グラフからわかることは、次の3点です。
- 政策金利差が拡大する少し前に、10年国債金利差が拡大を始める傾向がある。
- 政策金利差が縮小する少し前に、10年国債金利差が縮小を始める傾向がある。
- ドル円は、政策金利差よりも10年国債金利差との連動する傾向がある。
以上からわかることは、政策金利がどのように動くかを市場は前もって察知し、10年国債金利差とドル円が、政策金利差よりも少し先に動く傾向があるということです。
ただし、通貨は様々な要因で動いているため、あくまで傾向であって、絶対にそうなるわけではないことには、注意しましょう!
実際に、スワップポイントを狙った長期投資をするときは、日米の政策金利差が拡大しそうだと判断できたときに、円を売ってドルを買い、そろそろ政策金利差の拡大が止まりそうだなと判断できたときに、利益確定をするのがベストな方法です。
また、10年国債金利差は、政策金利差よりも少し先に動く傾向がありますので、今後の金融政策について、市場がどう判断しているかを表しているともいえます。
10年国債金利差も参考にして、売買の判断をしていくとよいでしょう。
ドル円を参考に見てきましたが、ほかの通貨ペアでも、基本的な考え方は同じです。
政策金利差と10年国債金利差を参考に、スワップポイントを狙った長期投資を行っていきましょう。
今後、政策金利が上がっていく通貨は、スワップポイントも上がっていきます。
通貨の上昇も期待できるので、ダブルでおとくですね。
ドルコスト平均法は長期投資と相性がよい
スワップポイントを狙った長期投資をする場合、ドルコスト平均法を使えば、手間がかからないうえ、短期的な相場の変動に惑わされることもなくなります。
また、平均取得単価を抑えることができるメリットもあります。
次の記事でくわしく解説していますので、参考にしてみてください。
まとめ
最後に、この記事の内容をまとめます。
- 中央銀行は、物価の安定(前年比2%物価上昇)のために、政策金利や市場通貨流通量を調整する!
- 金利の高い通貨は買われ、金利の安い通貨は売られる!
- 金利差が拡大しそうな通貨ペアにエントリーし、金利差が縮小しそうになれば決済する!
スワップポイントを狙った長期投資をするなら、中央銀行の金融政策のチェックは外せません。
売買通貨ペアや売買タイミングを誤って損しないよう、中央銀行の動向はおさえておきましょう!
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